発見物情報
補足
ラピスラズリを削りだして作った器に、金やエマイユで装飾した調度品。石の削り出しはイタリアでなされたものだが、金属部分は何度も手直しされているようだ。
考察
この「船形器」は、ルーヴル美術館に所蔵されるラピスラズリ製の「ネフ」をもとにした発見物と考えられる。細長い貝殻のような形に削り出された本体はラピスラズリ製で、金や金鍍金した銀、エマイユ装飾を組み合わせた豪華な器である。高さは約41cmに達し、器の端には海神ネプトゥヌス像や海獣の頭部、仮面、花綱などが取り付けられている。
石そのものの加工は16世紀とされ、制作地はイタリアまたはフランスの可能性が挙げられている。一方、現在見られる金属製の台座や装飾金具は1670年頃にパリで作られたものとされる。つまり一度に完成した作品ではなく、貴重な石の器を後世に新しい趣味や用途へ合わせて仕立て直したものである。ゲーム内説明の「金属部分は何度も手直しされているようだ」という点は、こうした複数時期の加工を反映したものとみられる。
ラピスラズリは鮮やかな青色のため古くから珍重され、ヨーロッパ宮廷では宝石そのものだけでなく、大型の器へ加工された作品も権威や財力を示す調度品となった。この船形器も最終的にはフランス王室の宝物となり、ルイ14世の宝石器コレクションに加えられている。ひとつの宝石を削り出した器に、異なる時代の石工技術と金工技術が重ねられている点が、この作品の大きな魅力である。

