補足
オーストラリア西部に広がる湾。湾内の海水は塩分が非常に高いため、ある種の藻しか生息できない。
他にも白色の貝殻のみで構成された砂浜があるなど、狭い地域でありながら、特異な環境が各所に見られる。
考察
シャーク湾はオーストラリア西岸に大きく入り込む湾で、複数の半島や島々によって海域が細かく区切られている。この閉鎖性の高い地形と強い蒸発の影響により、湾内には外洋に近い海域から、通常の海水より塩分が著しく高い高塩分域まで大きな差が生じている。特にハメリンプールでは海水の塩分が非常に高く、こうした特殊な環境が独特の生態系をつくり出している。
ハメリンプールを代表するのがストロマトライトである。これはシアノバクテリアなどの微生物群集によって形成される層状の構造物で、地球初期の生物活動を考えるうえで重要な存在とされる。現在も生きたストロマトライトが大規模に見られる場所は限られており、シャーク湾はその代表例である。一方、湾全体が生物の乏しい海なのではなく、広大な海草藻場にはジュゴンやイルカ、サメ、エイ、ウミガメなど多様な海洋生物が生息している。
もう一つ特徴的なのが、白い貝殻だけでできたように見えるシェルビーチである。高塩分環境に適応した小型二枚貝が大量に生息し、その殻が長い時間をかけて海岸に堆積したことで形成された。シャーク湾の「奇怪な風景」は、単に塩分が高いという一点から生まれたものではない。閉鎖的な湾の地形、強い蒸発、塩分勾配、それに適応した生物群が組み合わさることで、ストロマトライトや貝殻の浜、広大な海草藻場といった異なる景観が同じ地域に並んでいることに大きな特徴がある。

