補足
金やラピスラズリをふんだんに使った、豪華な王杖。クフ王は、エジプト最大である、ギザの第1ピラミッドを建造したファラオである。
考察
クフ王は古王国第4王朝のファラオで、紀元前26世紀頃にギザ最大のピラミッドを建造した人物である。大ピラミッドは本来約146.5mの高さを持ち、約3800年間にわたって世界で最も高い建造物だった。現在まで残る「古代世界の七不思議」の唯一の例でもあり、王の権力だけでなく、膨大な資材調達、労働力の組織化、測量・建築技術を示す巨大国家事業だった。
一方、ゲームに登場する「クフ王の王杖」に相当する実物は、今回確認したエジプト政府や主要博物館の資料では見つからなかった。古代エジプトの王権を示す杖や笏そのものは実在し、ファラオはヘカ杖やネケクなどの王権標章を持つ姿で表された。しかしクフ王個人に確実に属するとされる遺物は非常に少ない。現存する同時代の立体像として確実視されるものも、アビドス出土の高さ約7.5cmの小さな象牙像が代表例である。
ゲーム内の「金やラピスラズリをふんだんに使った豪華な王杖」という説明は、古代エジプト王権のイメージとしては不自然ではないが、クフ王本人の王杖として考古学的に確認された品ではなさそうだ。また、大ピラミッド内部からクフ王の財宝が大量に発見された事実もない。王の間には石棺が残るものの、王のミイラや副葬品は確認されていないため、この発見物は史実上の特定遺物というより、クフ王の威光を象徴する創作的な財宝と見るのがよい。

