補足
ブルガリア北東部にある、マダラ高原の崖に刻まれた巨大なレリーフ。周りに足場のない高さに刻まれているという特色がある。周囲に古いギリシャ語の銘文があるため、かつてこの地を支配したブルガール人が作ったという説がある。
考察
マダラの騎士像は、ブルガリア北東部のマダラ村近くにある高さ約100mの断崖に刻まれた巨大な岩刻レリーフである。像そのものは地上約23mの位置にあり、馬上の人物、その足元に横たわるライオン、後方を走る犬が表されている。制作は8世紀初頭とされ、第一次ブルガリア帝国成立直後の時期にあたる。ヨーロッパではほとんど例を見ない規模と構成を持つため、1979年に世界遺産へ登録された。
この像の周囲には中世ギリシャ語の銘文が刻まれており、テルヴェル、コルミソシュ、オムルタグといったブルガリア君主の治世に関する出来事が記録されている。つまり、単に「ギリシャ語があるからブルガール人の作品らしい」と推測されているのではなく、初期ブルガリア国家との結びつきはかなり明確である。ただし、騎士像そのものが誰を表すのかについては断定されていない。テルヴェル説、アスパルフ説、クルム説、さらには神格を表すとする説まであり、人物同定には今も幅がある。
ゲーム内の説明にある「足場のない高所に刻まれた」という特色はよく合っているし、周辺の古いギリシャ語銘文も実在する。修正したいのは最後の部分で、銘文の存在は「ブルガール人が作った説の根拠の一つ」というより、むしろこの遺構が第一次ブルガリア帝国初期の歴史を伝える重要な一次資料そのものと見る方が近い。像の正体には謎が残る一方、遺構全体の歴史的位置づけはかなりはっきりしている。

