カエサルの黄金の杯

『カエサルの黄金の杯』を発見したゲーム画面

発見物情報

補足

クレオパトラ7世からユリウス・カエサルに贈られたという、黄金の杯。エジプトはナイル川から砂金が取れたため、金が豊富だったといわれる。

考察

クレオパトラ7世とユリウス・カエサルがアレクサンドリアで出会ったのは紀元前48年。クレオパトラは弟プトレマイオス13世との王位争いのさなかにあり、ローマ内戦を追ってエジプトへ来たカエサルとの関係を通じて政権を立て直した。翌年にはプトレマイオス13世が敗死し、クレオパトラは再び王位を確保する。その後、カエサルとの間にはカエサリオンと呼ばれるプトレマイオス15世が生まれたとされ、二人の結びつきは単なる恋愛物語ではなく、ローマとプトレマイオス朝エジプトの政治が重なる場所にあった。

当時のエジプトが大量の金を扱える地域だったことは確かである。プトレマイオス朝はヌビアや東部砂漠の金鉱を利用し、アレクサンドリアでは質の高い金貨も鋳造された。宮廷が豪華な金製品を所有していても不思議ではないが、ゲーム内の説明にある「ナイル川から砂金が取れたため金が豊富だった」というまとめ方は少し単純だ。王朝の金の供給を支えた主要な資源として、まず挙げるべきなのはヌビアや東部砂漠の鉱山である。

そして「クレオパトラからカエサルへ贈られた黄金の杯」については、対応する実在の遺物や、それを裏付ける史料は確認できなかった。プトレマイオス朝では王家に結びつく豪華な器や祭祀用容器が実際に作られているため、物としての設定には時代らしさがある。ただし、この杯そのものは二人の関係とエジプトの富を象徴するために用意された、ゲーム独自の歴史遺物と見た方がよさそうだ。

目次