夜 北側

補足
地面から空に向かって光の柱が伸びているように見える現象。寒い地域で、遠くにある地上の光が上空に漂う氷の結晶を含んだ薄い雲に反射することで柱のように見える。
考察
ライトピラー(光柱)は、空中を漂う氷晶が地上の照明や太陽などの光を反射し、光源の上下に細長い柱が伸びているように見える大気光学現象である。実際に空へ一本の光線が伸びているわけではなく、多数の氷晶から届く反射光が観測者の視線上で連なった結果、垂直な柱として知覚される。夜間に街灯や建物の照明から現れるものは、太陽によるサンピラーと同じく氷晶の反射を利用するが、光源が観測者に近いため、その見え方には独特の性質がある。
重要なのは、単に「薄い雲の氷が光を反射する」というだけではない点である。光柱を作りやすいのは、六角形の薄い板状氷晶がほぼ水平にそろって落下している状態である。氷晶は完全に静止しているわけではなく、わずかに傾きながら漂う。その異なる角度を持つ無数の面が鏡のように光を反射することで、点に近い光源が上下方向へ引き伸ばされたように見える。したがって柱そのものが特定の位置に存在するわけではなく、観測者が移動すれば形や明るさも変化する。
地上の人工光によるライトピラーは、特に強く冷え込み、風の弱い夜に現れやすい。こうした環境では「ダイヤモンドダスト」と呼ばれる微細な氷晶が地表付近にも形成され、板状結晶が安定した姿勢を保ちやすくなる。光源によって色が異なるため、複数の街灯から赤や橙、白などの柱が並んで見えることもある。この点では、自然の氷晶と人間の照明が組み合わさって初めて成立する、少し珍しいタイプの大気現象ともいえる。
ゲーム内ではストックホルムの夜空で観測できるが、寒冷な北欧の都市という舞台は現象の性質ともよく合っている。ただし「寒ければ必ず見える」わけではなく、氷晶の形・向き、風、光源、観測者との位置関係がそろう必要がある。空に立つ巨大な光の柱は幻想的に見えるが、その正体は一枚一枚の小さな氷晶が作る無数の反射なのである。

