補足
ターヌムスヘーデという街で発見された、岩石線画の刻まれた平面岩。青銅器時代から鉄器時代にかの地で暮らした、人々の生活をうかがい知ることができる貴重なもの。
考察
ターヌムの岩絵群は、スウェーデン西部ブーヒュースレーン地方のターヌム周辺に広がる、北欧青銅器時代を代表する岩刻画群である。露出した花崗岩の表面に、人間、動物、船、武器、車輪状の記号などが刻まれ、その数と多様さは北欧でも際立っている。主な制作年代は紀元前1700年頃から紀元前500年頃とされ、当時の人々の生活だけでなく、社会秩序や信仰、儀礼のあり方を読み取る重要な資料になっている。
ゲーム内説明では「人々の生活をうかがい知ることができる」とされているが、ターヌムの岩絵は単なる日常風景の記録ではない。船や武器、戦士、動物などの図像は、移動や戦争、権威を示すものとして解釈される一方、儀式や神話的世界観を表している可能性も高い。UNESCOも、これらの図像が旅、身分、権力、戦争、祭祀など複数の側面を伝えていると評価している。つまり、岩面そのものが一種の共有された「物語の場」だったと考えられる。
製作方法も興味深い。岩絵は自然の割れ目を利用したものではなく、石製の槌や尖った道具で表面を打ち欠き、さらに研磨して形を整えていた。現在、一部の岩絵が赤く塗られて見えることがあるが、これは現代の見学者が図像を認識しやすくするための保存・展示措置であり、すべてが当初から赤く彩色されていたことを意味しない。この点は、現地写真を見たときに誤解しやすい部分である。
『大航海時代 Online』では「太古の絵画」として発見するが、実物は絵の具で描かれた絵画ではなく、岩を直接刻んだ岩刻画である。それでも、一枚の岩面に人、船、武器、儀礼らしき場面が重なって残る姿は、文字資料のない時代の人々が自分たちの世界をどう表現したのかを伝える。言葉ではなく石に残された記憶という意味で、まさに「太古の絵画」と呼びたくなる遺跡である。

