発見物情報
補足
ギザの第1ピラミッドの主である、クフ王の姿を彫った象牙の小さな像。クフ王の姿を表した物は、ほかに見つかっていない。
考察
クフ王の象牙の像は、ギザの大ピラミッドを築いた古代エジプト第4王朝のファラオ、クフ王の姿を伝える小さな坐像である。高さはわずか7.5cm。下エジプトを象徴する赤冠をかぶり、右手に王権を示す殻竿を持って玉座に座っている。玉座にはクフ王の名が刻まれており、誰を表した像なのかを判断する重要な手がかりとなった。巨大なピラミッドを残した王の姿が、手のひらに収まるほど小さな象牙像によって伝えられているのは印象的である。
この像は1903年、イギリスの考古学者フリンダーズ・ペトリーによって、上エジプトのアビドスにあるコム・エル・スルタンの神殿跡から発見された。当初は頭部のない状態で見つかったが、破断面が新しかったことから、発掘中に外れた可能性が考えられた。そこで掘り出した土砂を調べ直し、約3週間後に頭部を発見。現在知られる姿に復元されたという経緯がある。
クフ王の彫像はほかにも断片が知られているが、ほぼ完全な姿を残し、確実に本人と特定できる立体像として、この象牙像は特別な存在である。ただし、制作年代については議論が残る。一般にはクフ王が統治した第4王朝の作品とされる一方、王の死後に制作された可能性も指摘されている。アビドスの発掘資料を研究する考古学者には、第6王朝頃の王室礼拝施設で用いられた像と考える見解もある。また、第26王朝の後世の作品とする説も提起されてきた。
制作年代が確定していない以上、この顔立ちをクフ王の生前の容貌そのものと考えることには慎重であるべきだろう。さらに、古代エジプトの王の彫像は、単なる肖像画ではなく、王権や神聖性を表現する宗教的な役割も担っていた。
ゲーム内ではクフ王の姿を探す依頼として登場するが、実際の発見地はギザでもナイル川中部でもなく、アビドスである。そして、この小像が伝えているのは王の顔だけではない。クフ王という存在が後の時代にどのように記憶され、崇敬されたのかを考える手がかりにもなっている。

