リディアの貨幣

『リディアの貨幣』を発見したゲーム画面

発見物情報

補足

アナトリア半島の古代国・リディアのものと見られる貨幣。有史で最古の貨幣鋳造と思われる。

考察

リディアの貨幣は、現在のトルコ西部に栄えたリディア王国と、その周辺地域で生まれた初期の鋳造貨幣である。紀元前7世紀後半頃には、金と銀の合金であるエレクトラムを用いた貨幣が発行されていたと考えられている。古代ギリシャの歴史家ヘロドトスも、リディア人が金銀の貨幣を使用した最初の人々だったと記している。ただし、貨幣の発明地や正確な年代には議論があり、リディアだけが唯一の起源だったと断定することはできない。

初期の貨幣は、一定の重量に整えた小さな金属の塊に刻印を打ち込んで作られた。片面には獅子の頭などの図像が表され、反対側には製造時にできた四角い打刻の跡が残る。獅子の図像は王権との関係が考えられており、貨幣を発行する権威を示した可能性がある。形は不揃いでも重量には基準が設けられ、金属そのものの価値に加えて、規格化された交換手段としての役割を持ち始めていた。

リディアの都サルディスは、交易路に位置し、金を含む砂で知られるパクトロス川にも近かった。こうした環境は貴金属の加工や流通に適していたと考えられる。紀元前6世紀、クロイソス王の時代には、それまでのエレクトラム貨に代わり、金貨と銀貨を別々に発行する制度が整えられた。純度の異なる貴金属を区別した貨幣制度は、後にリディアを征服したアケメネス朝ペルシアにも受け継がれていく。

貨幣が登場する以前にも、金属や穀物などを用いた価値の計算や交換は行われていた。リディアの貨幣が重要なのは、貨幣そのものを発明したと断言できることではなく、一定の重量と刻印を備えた金属貨幣が広まり、後世の経済活動に大きな影響を与えた点にある。小さな金属片には、交易の発展と国家による価値の保証という、社会の大きな変化が刻まれている。

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