笑いの画家に笑われる

リュートを抱えて笑う道化師を描いたフランス・ハルスの絵画

最近、美術の発見物を整理していて、フランス・ハルスの《リュートを弾く道化師》に出会いました。17世紀のオランダで描かれた作品です。

赤と黄色の派手な衣装を着た若者が、リュートを抱えて笑っています。これがまた、実に楽しそうな顔をしているんです。

こちらに何か言いたげな、いたずらっぽい笑顔。演奏の途中で誰かに声をかけられたのか、それとも面白い冗談でも聞いたのか。

400年ほど前の絵なのに、今にも笑い声が聞こえてきそうです。

しばらく眺めているうちに、ふと思いました。

……もしかして、私たちを笑っている?

こちらはクエストを整理し、発見物を調べ、博物館まで開いて、今度はバックアップの仕組みも整えています。

もともとは航海を楽しみながら、発見したものを記録するために始めたサイトです。それがいつの間にか、展示品の解説を書いたり、博物館の展示方法を考えたり、サイトの保守まで気にするようになりました。

もちろん、どれも大切な仕事です。少しずつ便利になっていくサイトを見るのは楽しいですし、博物館に新しい展示が並ぶのも、なかなかうれしいものです。

ただ、ひとつ問題があります。

肝心の船が、さっぱり港から出ていないんです。

航海の記録を残すためのサイトなのに、記録する航海が増えない。これは、なかなか見事な本末転倒ではありませんか。

そう思ってもう一度絵を見ると、道化師がさっきより楽しそうに笑っている気がします。

いやいや、気のせいでしょう。絵の中の人物が、こちらの事情を知っているはずがありません。

……でも、その顔はちょっと笑いすぎでは?

考えてみれば、フランス・ハルスという画家も大したものです。400年も後の航海者を、こんな気持ちにさせる絵を描いたのですから。

さて、そろそろ出航しましょうか。まだ調べたい発見物もありますし、訪ねたい場所も残っています。

博物館の展示も、航海を続けてこそ充実するというものです。

だから、道化師さん。

もう十分笑ったでしょう。

……出航する前に、サイトの更新だけ済ませてもいいですか?

アイキャッチ画像:フランス・ハルス《リュートを弾く道化師》/ルーヴル美術館所蔵/画像:Wikimedia Commons(Public Domain)

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