クヌート大帝の硬貨

『クヌート大帝の硬貨』を発見したゲーム画面

クエスト二部作「ブリテン島の覇者たち」#1

発見物情報

補足

クヌートは、11世紀、ヴァイキングとも呼ばれたデーン人の王。イングランドのほかノルウェー、スウェーデンを征服し北海帝国を築いた。彼の肖像が刻まれた硬貨はヴァイキングの貿易の広まりと共に遠くまで流通した。

考察

クヌート大帝は、11世紀前半にイングランド、デンマーク、ノルウェーを支配したデンマーク系の王である。1016年にイングランド王となり、1018年頃にはデンマーク王位を継承、1028年にはノルウェーの支配権も獲得した。複数の王国を結びつけたその勢力圏は、後世「北海帝国」と呼ばれる。ただし、統一された国家制度を持つ帝国ではなく、王個人の権威によって結びついた複合的な支配体制だった。

クヌートの硬貨としてよく知られるのは、イングランドで発行された銀貨のペニーである。彼は征服後もアングロ・サクソン時代の貨幣制度を引き継ぎ、各地の造幣所で硬貨を製造させた。表面には王の肖像と称号、裏面には十字架などの図像に加えて、貨幣製造者や造幣地を示す銘文が刻まれた。大英博物館にはバースで鋳造された四葉形の枠に王の胸像を収めた銀貨や、デンマーク、現在のスウェーデン南部のルンドで製造された硬貨も所蔵されている。

硬貨に刻まれた王の肖像は、単なる装飾ではなかった。広い領域に王の名と権威を示すとともに、貨幣の発行そのものが支配者の重要な権限だったのである。また、造幣地や製造者の記録は、当時の都市経済や貨幣制度を知る手がかりにもなっている。

ヴァイキング時代の銀の流通は、北海周辺に限られていなかった。北欧には東方の河川交易を通じてイスラム世界の銀貨が大量に流入し、10世紀末頃からは西ヨーロッパの硬貨が重要性を増していった。銀貨は取引に用いられるだけでなく、重量によって価値を測られ、切断された銀製品とともに蓄えられることもあった。

クヌートの硬貨も、こうした広域の経済交流を理解するうえで重要な資料である。ただし、ヴァイキングが地中海方面まで活動範囲を広げたことと、クヌートの銀貨が地中海全域で広く流通したことは同じではない。個々の硬貨の発見場所や流通経路は、出土資料に基づいて慎重に検討する必要がある。

一枚の小さな銀貨には、王権の象徴だけでなく、北海を中心に広がった政治的なつながりと、人々の交易活動の歴史が刻まれている。

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