発見物情報
補足
古代メソポタミア文明で作られていた、独特の石像。門の脇などに置かれ、守護の意味があったと考えられる。
体は牡牛であったり獅子であったりする。
考察
有翼人面獣身像は、人間の頭、牡牛や獅子の胴体、鳥の翼を組み合わせた古代メソポタミアの守護像である。特に紀元前9世紀から7世紀の新アッシリア時代には、王宮や都市の門を守る巨大な石像として数多く制作された。こうした存在は一般に「ラマッス」と呼ばれ、邪悪な力を退ける役割を担っていた。
その姿には、人間の知性、牡牛や獅子の力強さ、鳥の翼が象徴する超自然的な力が重ねられている。頭部にかぶる角付きの冠は神聖な存在であることを示し、王宮を訪れる者に王の権威を印象づける役割も果たした。
特徴的なのは、脚が5本あることである。正面から見ると2本の前脚で堂々と立ち、側面から見ると4本の脚で歩いているように見える。これは彫刻家の間違いではなく、見る角度によって静止と前進の両方を表現するための工夫だった。
アッシュールナツィルパル2世の宮殿があったニムルドや、サルゴン2世が建設したドゥル・シャルキンでは、こうした守護像が門の両側に配置された。巨像の中には高さ4メートルを超えるものもあり、石材の切り出しや運搬には大勢の労働者が必要だった。
像の表面には王の称号や業績を記した楔形文字が刻まれることもあった。つまりラマッスは、単なる装飾品ではなく、宗教的な守護と王権の誇示を兼ね備えた存在だったのである。
19世紀の発掘によって再び姿を現した巨像は、現在も世界各地の博物館に収蔵されている。数千年を経た今でも、その巨大な姿は、古代アッシリアの人々が門の向こう側に求めた守護の力を伝えている。

