クエストシリーズ「トリスタンの剣」#4 最終話
補足
イングランドの騎士トリスタンのものといわれる剣。彼の墓と思われる場所から発見された。トリスタンはイゾルデ姫との悲恋物語で知られる。
考察
トリスタンは、中世ヨーロッパの騎士物語『トリスタンとイゾルデ』に登場する英雄である。物語では、アイルランドの戦士モルオルトとの一騎打ちで剣を振るい、その刃の一部が相手の頭部に残ったという重要な場面が語られる。この欠けた剣が後にトリスタン自身の身元を明かす手掛かりとなり、恋と悲劇へ続く物語の出発点のひとつになる。
初期のトリスタン物語では、この剣に固有の名は与えられていない。ところが13世紀以降の『散文トリスタン』では、トリスタンの剣が後にシャルルマーニュの時代へ受け継がれ、オジエ・ル・ダノワの剣コルタンと結びつけられる伝承が現れる。さらにイングランド王家には「トリストラムの剣」と呼ばれる剣が存在した記録があり、後世には切先を丸めた戴冠宝剣 Curtana と同一視する説まで生まれた。
ただし、現在の英国王室が使用する Curtana は16〜17世紀の部材からなる儀礼用の剣で、トリスタン本人の武器が現存しているわけではない。『トリスタンの剣』は、実在の遺物というより、物語の中で欠けた刃が英雄の運命を示し、その伝承が何世紀にもわたって別の騎士や王権の物語へ受け継がれていった存在として捉えるのが自然だろう。

