シリーズ「ソロモンの鍵」の相関図相関図を見る
クエストシリーズ「ソロモンの鍵」#4
発見物情報
補足
聖書のソロモン王が、悪魔や精霊72体を封じ込めたという宝玉の一つ。この宝石にはアスタロトが封じられているという。真偽の程は不明だ。
宝玉はよく見ると傷があり、「西」と彫られている。
考察
アスタロトは、西洋の悪魔学に登場する強力な悪魔である。しかし、その名をたどると、古代西アジアで信仰された女神アシュタルトに行き着く。悪魔としての姿は、長い年月をかけて宗教や文化の中で再解釈されてきたものだ。
アシュタルトは、フェニキアなどの古代西アジア世界で崇拝された女神で、愛や豊穣、戦いと関係していた。地中海のキプロス島にも信仰が広まり、ギリシャのアフロディテと結びつけられるようになった。メトロポリタン美術館には、アシュタルト信仰との関係が指摘される紀元前6〜5世紀の土偶が収蔵されている。こうした資料は、彼女が本来、信仰の対象となる神格だったことを伝えている。
その一方、ヘブライ語聖書にはアシュトレトという名が登場し、イスラエルの信仰とは異なる神々への崇拝として批判される。後のヨーロッパでは、これらの名称が悪魔学の中に取り込まれ、男性の悪魔アスタロトとして語られるようになった。ただし、古代の女神と近世の悪魔は、名前のつながりがあっても同じ性格の存在ではない。
17世紀の写本で知られる『ソロモンの小さな鍵』第一部『アルス・ゴエティア』では、アスタロトは72の霊の第29番目に位置する。公爵の位階を持ち、竜のような獣に乗り、右手に蛇を携えた天使のような姿で現れるという。過去や未来の秘密を語り、学問の知識を授けるとも記されているが、これは魔術書における伝承である。
ソロモン王が悪霊を支配したという物語も、聖書以後に発展した。『ソロモンの遺訓』などには指輪を使って悪霊を従える話が登場するが、72体をそれぞれ宝玉に封印したという設定は確認できない。
宝玉に刻まれた「西」という一文字も興味深い。バアルの宝玉には「遠浅の海」、ベリアルの宝玉には「松の島の北の街」と記されていた。いずれも場所を示す手がかりのように見えるが、具体的な関連は不明である。
古代の女神の名が悪魔へと姿を変え、さらに宝玉に封じられた存在として語られる。その変遷に、この発見物の面白さがある。

