クエスト二部作「アレクサンドロス大王の装備」#1
発見物情報
補足
マケドニアの王にして地中海からペルシャまでの巨大な版図を築いた、アレクサンドロス大王の剣。東西の技巧を凝らした、まさに王者の剣である。
考察
アレクサンドロス大王は、前336年にマケドニア王へ即位してから十年ほどの間にアケメネス朝ペルシアを滅ぼし、エジプトから中央アジア、インダス流域に及ぶ広大な領域へ進出した。ゲーム内説明にある「地中海からペルシャまで」という表現より、実際の遠征範囲はさらに東へ広い。大王自身も戦場に立つ王として描かれることが多く、剣はその人物像を象徴するにはよく似合う。
なかでも剣と結びつく有名な逸話が「ゴルディアスの結び目」である。古代の伝承では、ゴルディオンにあった複雑な結び目を解いた者がアジアの支配者になるとされ、アレクサンドロスがこれを剣で断ち切ったという話が広く伝わった。ただし、プルタルコスは別伝として、車軸の留め具を抜くことで結び目を外したという説も紹介している。つまり「大王が剣で一刀両断した」という有名な場面自体、古代から複数の伝承が存在していた。
一方、「アレクサンドロス大王本人が所有したこの剣」という形で確実に同定された実物が現存しているわけではない。ゲーム内の「東西の技巧を凝らした王者の剣」という設定も、そのまま考古学的事実として受け取るのは難しい。ただし、アレクサンドロスは征服後、ペルシア王権の礼装や宮廷儀礼を取り入れ、イラン系貴族を統治機構へ組み込んでいった。彼の王権そのものが、マケドニア的伝統とアケメネス朝の王権文化を接近させていったのは確かである。
『大航海時代 Online』の発見物は、実在する特定の遺物というより、そうしたアレクサンドロス像を一振りの剣に凝縮したものと見ると面白い。戦場を駆けた王、ゴルディアスの結び目を断った英雄、そして東西にまたがる帝国を築いた支配者。その複数のイメージが重なって、「大王の剣」という象徴的な歴史遺物になっている。

