発見物情報
補足
ペロポネソス半島沖で難破した貿易船。ヤッファに巡礼者を送り届けた後、イングランドへの帰路で難破した。
沈没船地図

考察
『大航海時代 Online』に登場するアン号は、15世紀のイングランドで活動した商船「コグ・アン号(Cog Anne)」を題材にしていると考えられる。船を送り出したのは、港町ブリストルの商人ロバート・スターミー。地中海の香辛料や高価な商品を、イタリア商人を介さずに直接取引しようと試みた人物である。
1446年に始まった航海で、アン号は約160人の巡礼者を乗せて聖地への玄関口ヤッファに向かった。巡礼者の輸送は信仰を支える行為であると同時に、長距離航海を商業的に成り立たせる手段でもあった。実際、船はイングランド産の商品を地中海へ運び、帰路には東方の産物を持ち帰ることが期待されていた。
しかし巡礼者を送り届けた後、帰国を目指すアン号はペロポネソス半島南西部、メトニ付近で暴風に遭い、岩礁に乗り上げて失われた。記録には37人の犠牲が伝えられている。この事故は単なる一隻の難破ではない。北大西洋の港ブリストルから東地中海へ直接進出しようとした商人たちの挑戦が、海の危険と隣り合わせだったことを示している。
スターミーはその後も地中海交易を諦めず、1457年に再び遠征を試みた。アン号が物語るのは、巡礼の時代にすでに育っていた、海を越えて市場を切り開こうとする商業の意志である。
