補足
釈迦の生誕地とされるルンビニにある池。釈迦はこの池で沐浴をした生母の脇の下から生まれ、産湯にはこの池の水が使われたと伝えられている。
考察
プスカリニ池は、現在のネパール南部にある仏教聖地ルンビニのマーヤーデーヴィー寺院近くに残る池で、「聖池」として信仰されている。ルンビニは釈迦の生誕地として古くから巡礼の対象となり、紀元前3世紀にはマウリヤ朝のアショーカ王が訪れて石柱を建立した。その碑文は当地が釈迦の生誕地と認識されていたことを伝える重要な史料で、寺院周辺からは紀元前の宗教施設や、その後の僧院・仏塔なども発掘されている。
プスカリニ池には、釈迦の母マーヤー夫人が出産前に沐浴し、生まれたシッダールタも最初の清めを受けたという伝承がある。現在のルンビニ開発トラストもこの伝承を紹介しており、池そのものは生誕地を構成する重要な聖跡である。ただし、これらは考古学によって個々の出来事まで確認されたものではない。池も1930年代の発掘・整備によって現在の方形に近い姿となっており、古代には異なる形だった可能性がある。
ゲーム内の説明にある「母の脇の下から生まれた」という部分も、仏伝に由来する超自然的な出生説話である。仏教美術ではマーヤー夫人が樹木の枝をつかみ、その身体の側面から釈迦が現れる場面が繰り返し描かれてきたが、これを通常の出生を記録した史実として扱うものではない。また出生直後の沐浴についても、龍や天から降る水によって清められる伝承など複数の表現がある。プスカリニ池は実在する古い聖地である一方、そこで語られる釈迦誕生の細部は、長い仏教信仰の中で形成された物語として捉える必要がある。

