クエストシリーズ「バベルの塔」#6
発見物情報
補足
シュメール文明の古代都で、名前は「海の角」という意味。「舌の塔」と呼ばれる大規模なジッグラトの遺跡があり、バベルの塔の遺跡であると考えられている。
考察
現在のイラク中部、古代都市バビロンの南西に位置するボルシッパは、メソポタミア文明の長い歴史を伝える都市遺跡である。その名は「海の角」を意味すると解釈され、かつて内海のように広がっていた水域の端に位置したことに由来するとされる。シュメール文明の時代から居住の痕跡があり、紀元前2千年紀にはすでに重要な都市として記録されていた。
ボルシッパの中心にあったのは、エジダと呼ばれる神殿である。ここでは文字、知恵、書記の神ナブーが信仰されていた。ナブーはバビロンの最高神マルドゥクの息子とされ、都市の宗教的地位を高めた。バビロンの新年祭ではナブーの神像がボルシッパから運ばれ、父神マルドゥクのもとへ向かう儀礼が行われた。両都市は運河でも結ばれ、政治と宗教の双方で密接な関係を持っていた。
エジダ神殿に隣接して築かれた巨大なジッグラトは、「天と地の七層の家」を意味する名を持つ。日干し煉瓦を積み上げ、外側を焼成煉瓦で覆った階段状の神殿塔で、新バビロニア王国のネブカドネザル2世によって大規模な再建が進められた。王の碑文にも神殿を修復した事績が記録されている。
現在、この遺跡はビルス・ニムルドと呼ばれる。崩れた煉瓦が巨大な丘のように残る姿から、古くから旧約聖書のバベルの塔と結びつけられてきた。中世のユダヤ人旅行者ベンヤミン・デ・トゥデラも、この場所を伝説の塔として紹介している。
しかし、ボルシッパのジッグラトが聖書のバベルの塔そのものだったと示す考古学的証拠はない。バビロンに存在したエテメンアンキも、伝説のモデルとして有力視されている。また、「舌の塔」という呼称を古代の正式名称とみなすことにも慎重であるべきだろう。
ボルシッパは、伝説の塔を探す人々の想像力を刺激してきた場所である。同時に、その遺構は古代バビロニアにおける神々の信仰、都市間の結びつき、そして高度な煉瓦建築技術を伝える確かな歴史資料なのである。

