ナポリ郊外、カンパーニャ地方 東の奥のほう

発見物情報
補足
火山の噴火によって滅びたポンペイの街で見つかったパン。火山灰に覆われて、奇跡的に朽ち果てず残った。
食べやすいように八等分にナイフを入れた状態で、カチカチに乾燥し、真っ黒になっている。まさしく食事の直前だったのだろう…。
考察
西暦79年のヴェスヴィオ火山噴火では、ポンペイやヘルクラネウムの町が火山噴出物に覆われ、建物だけでなく食べ物まで炭化した状態で残る例が生まれた。ポンペイでは実際に炭化したパンが見つかっており、モデストゥスのパン屋からは多数のパンが出土している。丸い形の上面には放射状の切れ込みが入り、八つの区画に分かれたものも確認されている。これは後から切り分けたのではなく、焼く前に切れ目を入れていたローマ時代のパンの特徴である。
ポンペイには製粉と製パンを一体で行うパン屋があり、火山岩製の大型石臼で穀物を挽き、大きな炉で焼いて販売していた。パンには製造者を示す印を押した例もあり、単なる家庭料理ではなく、都市の食品流通を支える商品でもあった。現代から見ると黒く硬い塊にしか見えない遺物でも、形や切れ込み、出土した場所を調べることで、当時の食事だけでなく商売の仕組みまで見えてくる。
ゲーム内の説明にある「八等分にナイフを入れた状態」や、黒く炭化したパンが残っているという部分には実例がある。ただし、「火山灰に覆われて乾燥したから朽ちなかった」というより、高温や噴火環境によって炭化し、有機物の形が残ったと捉えた方がよい。また、切れ込みがあるから「まさしく食事の直前だった」とまでは言えない。八分割は焼く前から施される一般的な形であり、その瞬間に食べようとしていた証拠ではないのである。
