補足
ヤーデイン近郊を流れる大河。その水源ははるか北の山岳奥地らしいが、途方もなく長い川であり調査は難航するだろう。全般的に水深が浅く、遡上には向かない河川のようだ。
考察
メコン川はチベット高原を源流とし、中国、ミャンマー、ラオス、タイ、カンボジア、ベトナムを流れて南シナ海へ注ぐ、全長約4900kmの大河である。東南アジアでは最長の河川で、上流では深い峡谷を流れ、下流へ進むにつれて広い平野や氾濫原を形成する。カンボジアではトンレサップ川と結ばれ、さらに下流では多数の分流に分かれて広大なメコンデルタをつくる。
メコン川は流域の人々にとって、農業、漁業、交通を支える重要な存在でもある。下流域では季節風によって雨季と乾季の水量差が大きく、氾濫によって運ばれる水と土砂が農地や湿地を潤す。一方、流域には世界でも特に豊かな淡水生態系があり、多数の魚類が確認されている。河川そのものが国境を越えて六つの国を結んでいる点も大きな特徴である。
旧来の説明にある「全般的に水深が浅く、遡上には向かない河川」という表現は正確ではない。メコンは古くから水運に利用され、現在も国際輸送路として使われている。ただし、全区間が容易に航行できるわけではなく、上流・中流には浅瀬、岩礁、急流が多く、場所によって航行条件が大きく異なる。とくにラオス南部のコーン滝周辺などは大きな障害となる。メコン川の特徴は「浅くて航行できない川」ではなく、長大な流路の中で地形と水量が大きく変化し、それによって航行の難易度も大きく異なる川と捉える方が適切である。

