クエストシリーズ「薬と毒薬」#3 最終話
発見物情報
補足
薬に関する商売を行っていたメディチ家秘蔵の処方箋。ハーブや野生の薬草、木の皮等を使った薬の調合法が記されている。
考察
ルネサンス期のフィレンツェでは、薬草や香辛料、樹皮、鉱物など多様な素材を組み合わせた薬が実際に用いられていた。医師が処方し、専門の薬種商が調合する仕組みが整っており、16世紀には古代ギリシャ・ローマや中世アラビア医学の知識をもとに、既存の処方を調整しながら薬を作ることも一般的だった。植物を中心とする治療はメディチ家にも用いられ、宮廷医師や書簡には具体的な薬剤の記録が残っている。
ただし、それは「メディチ家独自の秘密の処方術」が存在したという意味ではない。メディチ家は医学や植物研究に強い関心を持ち、薬用植物の研究や植物園の整備を支援したが、家そのものが薬種商として秘伝の薬を調合していたことを示す確かな資料は見当たらない。前の「メディチ家の秘薬」と同じく、家名と医療との結びつきを膨らませた設定と見るのが妥当である。
「少し調合を変えるだけで薬にも毒にもなる」という考え方には、一定の現実性がある。ルネサンス期の薬には、量や使用法によって有害になりうる植物や鉱物も含まれ、薬種商は毒物に関する知識も求められていた。ただし、それをメディチ家特有の秘密技術と結びつける根拠はない。ゲーム内の説明にあるハーブや野草、木の皮を使った薬そのものは時代に合っているが、「メディチ家秘蔵の処方箋」という部分は創作性が強い。

