テラ・ノヴァ エピソード(ヴィンランド)・本編相関図を見る
発見物情報
補足
新大陸北部、テラ・ノヴァにある史跡。北欧のヴァイキングが移住した場所と考えられている。いくつかの建物が良い状態で残っておりこれらは作業場として使われたと考えられている。
考察
ランス・オ・メドーは、ニューファンドランド島北端に残る11世紀初頭の北欧人遺跡である。1960年にヘルゲ・イングスタッドらが遺構を確認し、その後の発掘で、アイスランドやグリーンランドの北欧人住居と共通する芝土と木材を用いた建物群、鍛冶炉、作業場などが見つかった。現在では北米で唯一確実に確認された北欧人の遺跡とされ、コロンブスより約500年前にヨーロッパ系の航海者が北米へ到達していたことを示す決定的な考古学的証拠となっている。
この遺跡の重要性は、単に「ヴァイキングがここに住んだ」と確認できたことだけではない。8棟の建物には居住施設だけでなく鍛冶場や作業場があり、沼鉄鉱から鉄を精錬し、船釘などを製作していた痕跡も残っている。木工の痕跡と合わせると、ここでは航海を続けるための船の修理が行われていた可能性が高い。遺跡の規模や利用期間からみても、恒久的な植民都市というより、グリーンランドから西方へ進出した北欧人が探索と資源確保のために利用した拠点だったとみる方が実態に近い。
また、ランス・オ・メドーをそのままサガの「ヴィンランド」と断定することもできない。遺跡からはニューファンドランド島には自生しないバターナットが見つかっており、北欧人がここからさらに南のセントローレンス湾周辺まで移動した可能性が考えられている。Parks Canadaもこの場所を、ヴィンランドそのものというより、南方探索の基地として位置づけている。つまり、サガが伝えた「ぶどうの地」は一つの点ではなく、北欧人が探索したより広い地域を指していた可能性がある。
さらに忘れてはならないのは、北欧人が到達する以前から、この地域が無人だったわけではないことである。ランス・オ・メドー周辺では数千年前から複数の先住民集団の活動が確認されている。北欧人の滞在は、その長い人類史の中ではごく短い一章にすぎない。それでも、この遺跡の発見によって、長くサガの物語として読まれてきた西方航海が、実際の建物、鉄、木工、生活道具を伴った歴史上の出来事だったことが明らかになった。ランス・オ・メドーは、伝承と考古学がもっとも鮮やかに交差する場所の一つなのである。

