補足
インカ帝国の北方、キト周辺の制圧に執心したインカ皇帝ワイナ・カパックの財宝。制圧完了の暁に、皇帝自らかの地に納めた品のようだが、その後のヨーロッパ人の来訪による混乱で、存在を忘れられていたようだ。
考察
ワイナ・カパックはインカ帝国末期の皇帝で、北方への拡大に長い時間を費やした。現在のエクアドル北部では、キト周辺だけでなく、カランキやカヤンベなどの勢力との激しい戦闘が続いたことが、考古学と植民地期の記録の双方から確認されている。彼は北部に長く滞在し、キトやトメバンバは帝国統治の重要拠点となった。したがって、ゲーム内の「北方、キト周辺の制圧に執心した」という説明には史実に沿う部分が多い。
一方、インカ皇帝の財産は単なる個人の宝物ではなかった。皇帝は宮殿や農地、倉庫などを含む王領を持ち、それらは死後も王族集団によって維持された。ワイナ・カパックについても、ウルバンバやユカイ一帯に大規模な王領を築いていたことが、16世紀の文書と考古学から確認されている。また、同時代に近い記録には、彼がキトに大量の金銀や織物を集めていたという記述も残る。
ただし、「キト制圧の証として皇帝自ら財宝を納め、それが後に忘れられた」という具体的な逸話は確認できなかった。北部遠征やキトへの長期滞在、莫大な財産を持っていたこと自体には裏付けがあるが、発見物そのものは、それらの史実をもとに組み立てられたゲーム独自の財宝設定と見るのがよさそうです。

