補足
高さ3mを超える、巨大な大理石像。ペガサスに乗った女神がラッパを吹き鳴らしている姿である。宮殿の水場を飾るために作られたという。
考察
翼を広げた天馬ペガサスにまたがり、長いラッパを吹き鳴らす女性。その正体はギリシャ神話の女神ではなく、名声や栄光を擬人化した「レノメ(Renommée)」である。フランスの彫刻家アントワーヌ・コワズヴォが1702年に完成させた大理石像で、現在はパリのルーヴル美術館に収蔵されている。
この作品が生まれたのは、ルイ14世の治世だった。太陽王と呼ばれた国王は、宮殿や庭園を飾る芸術を通じて王権の威光を示そうとした。1698年、王室建築総監ジュール・アルドゥアン=マンサールのもとで制作が発注され、王の離宮マルリーの庭園を飾る彫刻として計画された。
像はイタリア産のカッラーラ大理石から彫り出され、高さは約3.15メートルに達する。後脚で立ち上がるペガサスの躍動感、風になびく衣、空へ向けられたラッパが、名声の広がりを劇的に表現している。しかし、ここで讃えられているのは神話の英雄ではなく、フランス国王その人だった。
実は、この彫刻には対になる作品が存在する。同じくペガサスにまたがる商業神メルクリウスの像である。名声の女神が国王の軍事的栄光を告げ、メルクリウスが平和と繁栄を象徴する。二つの彫刻を組み合わせることで、ルイ14世の統治を理想化する壮大な政治的演出が完成した。
1702年、両作品はマルリー宮殿の庭園にある大きな水場「アブルヴォワール」の上部に設置された。1719年にはパリのチュイルリー庭園へ移され、1986年に保存のためルーヴル美術館へ収められた。
ゲーム内では宮殿を飾る大理石像として登場するが、その背景には、芸術を王権の宣伝に用いた絶対王政の時代がある。天馬に乗って響かせるラッパの音は、神々への賛歌であると同時に、国王の名を世界へ伝えるためのものだったのである。

