市民冠

『市民冠』を発見したゲーム画面

発見物情報

補足

古代ローマの報奨制度のひとつで、ローマ市民の命を救ったものが与えられる冠。他の栄誉で与えられる冠は金であったが、最高位である市民冠はオークの葉で作られていた。この栄誉に預かったもののみ金属製の市民冠を作ることが許された。

考察

市民冠は、古代ローマで戦場において同胞のローマ市民の命を救った者に授けられた栄誉の冠である。ラテン語では「コロナ・キウィカ」と呼ばれ、オークの葉や枝を編んで作られた。古代ローマには城壁への突入や海戦での功績をたたえる冠も存在したが、市民冠は金などの高価な素材を用いないにもかかわらず、特に名誉ある褒賞とされた。

授与には厳しい条件があった。博物学者プリニウスの『博物誌』によれば、救われた者がローマ市民であり、救助者が敵を倒して、その場所を敵に奪われずに守ることなどが求められた。さらに、命を救われた本人がその事実を認めなければならず、ほかの証人だけでは十分とされなかった。単に勇敢に戦うだけでなく、同胞の命を守ったことを証明する必要があったのである。

受章者には特別な待遇も与えられた。公の競技や催しに姿を見せると元老院議員が立ち上がって敬意を示し、議員の近くに座ることが許された。また、本人だけでなく父や父方の祖父にも、公的な負担の免除が認められたと伝えられている。市民冠は戦功の記念品にとどまらず、社会的な地位にも関わる栄誉だった。

紀元前27年には、内戦を終結させたオクタウィアヌス、のちのアウグストゥスにも市民冠が授けられた。市民を救ったという意味は、個人を戦場で救助する功績から、国家に平和を取り戻したという政治的な意味へ広がっていった。オークの冠は皇帝の肖像や貨幣にも表され、統治者の功績を示す象徴となった。

市民冠に込められた価値観は、金銭的な褒賞とは異なっている。プリニウスは、ローマ人が市民の命を救う行為に値段を付けず、栄誉そのものを報酬としたことを称賛した。素朴なオークの葉の冠は、同胞の命を守ることを重んじた古代ローマの理想を伝えている。

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