補足
「しししんおうのかっちゅう」。獅子心王とは、プランタジネット朝イングランド王のリチャード1世のこと。第3回十字軍に従軍した際に身につけていた甲冑だという。
考察
「獅子心王」と呼ばれたリチャード1世は、1189年から1199年までイングランド王として在位し、第3回十字軍に参加したことで広く知られている。アッコン包囲戦やアルスフの戦いなどで軍事的な名声を高め、その勇猛さから「Lionheart」の異名が定着した。後世には豪華な板金甲冑姿で描かれることも多いが、実際の12世紀末の騎士装備は鎖帷子を中心とするものだった。
リチャード1世本人の姿を伝える重要な資料のひとつが、1198年の王璽である。そこでは騎乗した王が防具をまとい、平たい兜をかぶり、剣と盾を持つ姿で表されている。盾には三頭の獅子が描かれており、これは後のイングランド王室紋章へつながる意匠としても重要である。少なくとも同時代の表現からは、後世の絵画に見られる全身板金甲冑とは異なる姿が確認できる。
ゲーム内の「獅子心王の甲冑」がリチャード1世の実在する特定の甲冑を指すかどうかは確認できない。現存品として本人の甲冑が確実に伝わっているわけではなく、発見物名は彼の軍事的イメージを象徴化したものと見るのが自然だろう。十字軍遠征、騎士王としての名声、そして獅子を掲げた王権の象徴。そのすべてが重なって、「獅子心王」という人物像が後世に形作られていったのである。

