クエストシリーズ「薬と毒薬」#2
発見物情報
補足
薬に関する商売を行っていたメディチ家秘蔵の処方箋。ハーブや野生の薬草、木の皮等を使った薬の調合法が記されている。
考察
メディチ家という名はイタリア語の「medico(医師)」を連想させるため、祖先が医師や薬種商だったという説が古くから語られてきた。しかし、家名の由来は確定しておらず、メディチ家が薬の商売によって成功したことを示す確かな史料も確認されていない。むしろ一族の大きな飛躍を支えたのは銀行業で、14世紀末から15世紀初頭にジョヴァンニ・ディ・ビッチが事業を拡大し、息子コジモの時代には教皇庁との取引を含む国際的な金融網へ成長した。
医療との結びつきがまったくなかったわけではない。コジモ・デ・メディチと弟ロレンツォは、医師の守護聖人として知られる聖コスマスと聖ダミアヌスを一族の守護聖人として重視した。ウフィツィ美術館も、この二聖人がメディチ家の名と医師という職業の語感の近さから特別な存在になったと説明している。こうした結びつきが、後世に「メディチ家は医薬に由来する家系だった」という物語を強めた可能性はある。
そのため、ゲーム内の「薬の商売を行っていたメディチ家秘蔵の薬」という設定は、史実というより家名と医療を結びつけた伝承を膨らませたものと見るのがよい。具体的な「秘薬」の存在や、飲めばたちまち体調が良くなるという効能を裏付ける資料も見当たらない。メディチ家の成功を説明するなら、薬ではなく銀行業、教皇庁との取引、広い人的・政治的ネットワークの方が歴史的実態に近い。

