ケルチ様式のつぼ

『ケルチ様式のつぼ』を発見したゲーム画面

発見物情報

補足

カッファの周辺で栄えていた王国のために作られたつぼ。
このつぼを輸入していた王国も、模造品を製作していたようだ。

考察

ケルチ様式とは、主に紀元前4世紀のアテネで作られた赤像式陶器の一群を指す名称である。クリミア半島のケルチ周辺から多数発見されたことから、この呼び名が定着した。人物を立体的に見せる表現に加え、白や黄色、金彩などを多用する華やかな装飾が特徴で、従来の赤像式より色彩豊かな作品も多い。名称だけを見るとケルチで作られた地方様式のように思えるが、代表的な作品の多くはアッティカ、つまりアテネ周辺で制作されたものだった。

当時の黒海北岸にはボスポロス王国が栄え、その中心都市パンティカパイオンは現在のケルチ付近にあった。アテネ製の陶器はこの地域へ大量に運ばれ、王侯や有力者の墓からも出土している。北黒海の需要を意識した図像や装飾が選ばれた可能性もあり、スキタイやアマゾン、グリフィンなど、この地域と結びつきの強い題材を描いた作品も目立つ。さらにクリミアでは、アテネ製品を参考にしたとみられる現地製の陶器も確認されており、輸入品を受け入れるだけでなく、その様式を取り込んでいたことが分かる。

ゲーム内の説明にある「輸入した王国が模造品も作った」という筋立てには、実際の考古資料と重なる部分がある。ただし、「その王国のために作られたつぼ」と言い切るのは少し強い。ケルチ様式は特定の王国専用品ではなく、あくまでアテネの後期赤像式陶器の一群で、黒海北岸へ盛んに輸出されたことから名付けられたものだ。ケルチで生まれた様式ではなく、アテネで作られ、黒海世界で強く受け入れられた陶器と捉えると実像に近い。

この発見物を入手できるクエスト

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