ダブリン郊外のポイン渓谷にある遺跡の中

発見物情報
補足
死者を埋葬する際に使われた石の棺。高貴な人物の棺には精巧なレリーフや彫刻が施されている。
考察
ボイン川流域のブルー・ナ・ボーニャには、ニューグレンジ、ノウス、ダウスを中心とする新石器時代の巨大な羨道墳が集まっている。築造はおよそ5000年前で、長い通路の先に石を組んだ埋葬室を設け、その上を大きな墳丘で覆う構造を持つ。周囲には多数の小型墳墓も点在し、単独の墓というより、儀礼と埋葬が集中した広大な祭祀景観を形成していた。巨石には渦巻きや菱形などの彫刻も刻まれ、西ヨーロッパでも屈指の巨石芸術が残る場所として世界遺産に登録されている。
ただし、この場所で「石棺」という言葉をそのまま当てはめると少し違和感がある。ノウスやニューグレンジの埋葬室には、大きな石を削った「ベイスン・ストーン」と呼ばれる石盤・石鉢状の設備があり、ノウスではその中に死者の遺骨が納められていたことが確認されている。一方、遺跡全体の基本形式は石棺を一人ずつ収める墓ではなく、複数の死者を扱う羨道墳であり、火葬された人骨が見つかる例もある。
ゲーム内の説明にある「高貴な人物の石棺には精巧なレリーフが施される」という内容は、一般的な古代地中海世界の石棺なら成り立つが、ボイン渓谷の新石器時代墓制とは少し時代も形式も異なる。この発見物は、現地のベイスン・ストーンや石造の埋葬施設を「石棺」として分かりやすく置き換えたものと見る方が、遺跡の実態には近い。
