クエスト二部作「戦車」#2
発見物情報
補足
アナトリアの古代王国ヒッタイトで発明された戦車。二輪で六輻の車輪を備え、馬が牽く車体に乗った御者が弓を爪弾いて戦う。
考察
ヒッタイト軍にとって戦車は、紀元前2千年紀後半の戦争を支えた重要な兵器だった。軽量な二輪車にスポーク式の車輪を備え、馬に牽かせる構造は、シュメール時代の重い四輪車とは大きく異なる。こうした軽戦車そのものはヒッタイトが最初に発明したわけではなく、スポーク式二輪車の初期例は紀元前2000年頃のユーラシア草原や古代オリエントですでに確認されている。ヒッタイトは既存の技術を軍事制度の中で大規模に運用した側と見る方がよい。
その代表例が紀元前13世紀のカデシュの戦いである。エジプト側史料では、ヒッタイト戦車は一台に三人が乗っていたと記される。御者だけでなく戦闘員と防御役を組み合わせた編成で、二人乗りが基本だったエジプト戦車とは性格が異なっていた。ヒッタイト軍は多数の戦車を集中させ、エジプト軍の隊列へ突入する戦術を用いており、戦車部隊が軍の中心的な打撃力になっていたことが分かる。
ゲーム内の説明にある「二輪で六輻の車輪」「馬が牽く」という姿は、後期青銅器時代の戦車像として大きく外れていない。ただし「ヒッタイトで発明された」は現在の考古学では支持しにくい。また「御者が弓を爪弾いて戦う」という一人二役の描写も単純化が強い。カデシュ関係史料では三人乗りが強調されており、ヒッタイト戦車の強みは個人の弓技より、複数人を乗せた車両を集団で運用する戦術にあった。

