補足
読みは、「かろうせいき」。新羅の金大門が記したという書物。
花郎とは、新羅時代に存在した、文武に長けた青年達のこと。戦時の際には先頭に立ち、国のために戦ったという。
考察
『花郎世記』は、8世紀初頭の新羅で活動した官人・金大問が著したとされる花郎の伝記である。金大問は真骨出身の官人で、704年には漢山州の都督を務めたことが知られ、『花郎世記』のほか『高僧伝』『楽本』『漢山記』『鶏林雑伝』などを著したと伝えられる。原本は現存しないが、12世紀に成立した『三国史記』には『花郎世記』からの引用が残されているため、少なくとも高麗時代までは何らかの形で伝わっていたとみられている。
花郎は単純な「若い戦士の集団」ではない。新羅の青年組織として修練や人的結合の場となり、その中から官人や将軍が輩出された。戦時には軍事活動へ参加した例も多く、『三国史記』が引用する『花郎世記』にも、賢臣や忠臣、良将や勇卒が花郎から生まれたという趣旨の記述がある。ゲーム内の説明にある「文武に長けた青年達」「戦時には先頭に立った」という捉え方は大枠では理解できるものの、花郎を常設の戦闘集団だけに限定すると、その社会的・教育的な性格を狭く見すぎることになる。
なお、現在『花郎世記』の名で知られる全文に近い文書は、1989年と1995年に公開された朴昌和筆の写本である。この写本が金大問の原著を伝えるものかについては長く論争が続いており、語彙や系譜、時代的に不自然な表現などを根拠に後世の創作とする研究もある。したがって、金大問が『花郎世記』を著したことと、今日知られる写本がその古代原本そのものであることは分けて考える必要がある。ゲームの「花郎世記」という発見物も、現存する真正な新羅時代の書物を発見したものとして扱うより、失われた金大問の著作を題材にした発見物と見る方が史料状況に合っている。

