岩窟の聖母_祭壇画

『岩窟の聖母_祭壇画』を発見したゲーム画面

発見物情報

補足

読みは「がんくつのせいぼ」。レオナルド・ダ・ヴィンチ作の絵画である。ミラノの聖堂の依頼で描かれた絵画が報酬で折り合わず、複製であれば安くてよいということで描かれたものである。この絵の製作には弟子の手も入っているそうだ。

考察

《岩窟の聖母》は、レオナルド・ダ・ヴィンチがミラノ時代に手がけた代表作の一つで、同じ構図をもつ作品がパリのルーヴル美術館とロンドンのナショナル・ギャラリーに残っている。もともとは1483年、ミラノのサン・フランチェスコ・グランデ聖堂にある無原罪の御宿り信心会の祭壇画として依頼されたものだった。聖母マリア、幼子キリスト、幼い洗礼者ヨハネ、天使が、岩山と植物に囲まれた幻想的な洞窟の中に配置されている。

最初に描かれたのは現在ルーヴルにある版で、制作後、画家側と依頼主とのあいだで報酬をめぐる争いが起きた。資料からは、当初の契約額では材料費などに見合わないとして、レオナルドとアンブロージョ・デ・プレディスが追加報酬を求めていたことが分かっている。その後、最初の作品は別の買い手へ渡ったと考えられ、祭壇のために改めて第二の版が制作された。これが現在ロンドンにある《岩窟の聖母》である。

ただし、単純な「安価な複製」ではない。ロンドン版では人物の仕草や光の扱いが変更され、レオナルド自身が構図を再検討した形跡も科学調査から確認されている。かつては弟子の手が広く入ったと考えられていたが、ナショナル・ギャラリーは修復・技法調査を通じて、かなりの部分をレオナルド自身が描いた可能性を示している。

二つの版を見比べると、ルーヴル版では天使が鑑賞者を見つめながら洗礼者ヨハネを指し示すのに対し、ロンドン版ではその身振りがなくなり、人物同士の視線と仕草の関係がより内向きに整理されている。同じ構図を繰り返した作品でありながら、レオナルドにとっては再制作そのものが新しい実験だったのである。

『大航海時代 Online』の「ダ・ヴィンチの祭壇画」というクエスト名は、この複雑な制作事情をうまく拾っている。単なる名画ではなく、一つの祭壇画をめぐる契約、報酬争い、再制作が、結果として二つの《岩窟の聖母》を生んだという背景を知ると、発見物としての面白さが一段増してくる。

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