バベルの塔

『バベルの塔』を発見したゲーム画面

クエストシリーズ「バベルの塔」#1

発見物情報

補足

ピーテル・ブリューゲル(父)作の絵画。建築中のバベルの塔を描いている。特に大型ではないのに、建築に携わる人や工具が非常に緻密に描かれている。本来はバビロンにあった塔だが、欧州の街をモデルに描いている。

考察

旧約聖書『創世記』第11章に登場するバベルの塔は、天に届く建造物を築こうとした人間たちが、神によって言葉を混乱させられ、各地へ散らされたという物語である。16世紀のフランドル地方で活躍した画家ピーテル・ブリューゲル(父)は、この逸話を壮大な建築現場として描き出した。

ブリューゲルは同じ主題の絵画を複数制作している。現存する代表作は、1563年制作のウィーン美術史美術館所蔵版と、1568年頃制作のロッテルダムにあるボイマンス・ヴァン・ベーニンゲン美術館所蔵版である。後者は縦約60センチ、横約75センチと比較的小さいが、無数の労働者や建築資材、運搬作業まで驚くほど細かく描かれている。ゲーム内の説明は、この小型版の特徴によく合致する。

巨大な塔の外観には、ブリューゲルがイタリア旅行で目にしたローマのコロッセオの影響が認められる。幾重にも重なるアーチや円形の構造は古代ローマ建築を思わせるが、その周囲には画家が暮らした16世紀の港町を連想させる風景が広がっている。

とりわけ興味深いのは、建設作業の具体性である。煉瓦を運び、石灰を引き上げ、足場を組む人々の姿は、幻想の建造物を現実の工事現場のように見せている。小型版には千人を超える人物が描かれているとされ、その一人ひとりの働きが巨大な塔を支えている。

当時のアントワープは、ヨーロッパ各地から商人が集まる国際的な港湾都市だった。異なる言語が飛び交う交易都市の姿は、言葉の混乱を描くバベルの物語と重なる。

塔は建設の途中にあり、人々はなお懸命に働き続けている。そこには、人間の技術と共同作業への驚嘆と、限界を忘れた野心への戒めが同居している。ブリューゲルは聖書の物語を借りながら、自らが生きた時代の都市と人間の営みを描いたのである。

この発見物を入手できるクエスト

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