クエストシリーズ「バベルの塔」#7 最終話
補足
ボルシッパの最盛期を築いたネブカドネザル2世の碑文。彼がどのようにしてナブー神を祀る「七層の神殿」を「尊いラピスラズリのレンカ」で修復したのかが刻まれている。
考察
紀元前6世紀、新バビロニア王国のネブカドネザル2世は、首都バビロンだけでなく、近隣都市ボルシッパでも大規模な神殿修復事業を進めた。その事績を現代に伝えているのが、楔形文字を刻んだ粘土円筒や煉瓦などの王碑文である。
ボルシッパは、文字と知恵の神ナブーを祀る重要な宗教都市だった。中心となるエジダ神殿に付属したジッグラトは、エウルメイミンアンキと呼ばれ、その名には「天と冥界の七つを集める家」という意味が込められている。ゲーム内の「七層の神殿」という表現は、この名称や階段状の建築構造を踏まえたものと考えられるが、名称だけで実際の階層数を確定できるわけではない。
ネブカドネザル2世の碑文によれば、古い時代に築かれた塔は未完成のまま荒廃し、雨水によって煉瓦が崩れ、外壁も損傷していた。王は神マルドゥクの意志を受けたとして、既存の基礎と位置を変えずに修復を進めたという。これは単なる建築技術の記録ではなく、神々への奉仕を通じて王の正統性を示す宣言でもあった。
注目すべきは「ラピスラズリのレンガ」である。関連する王碑文には、バビロンとボルシッパのジッグラトを焼成煉瓦と瀝青で築き、その上部をラピスラズリを思わせる青色の施釉煉瓦で輝かせたことが記されている。青い鉱石そのものを大量に積み上げたという意味ではなく、貴重な宝石に例えられるほど鮮やかな装飾だったと理解できる。
王碑文は、建築の工程を伝えると同時に、王が後世へ残そうとした自己像を刻んだ資料でもある。そこに書かれた完成の宣言と、遺跡から読み取れる実際の工事状況は、区別して検討する必要がある。
バベルの塔をめぐる伝説の背後には、こうした現実の神殿建築と、それを修復し続けた人々の歴史があった。ボルシッパ碑文は、伝説の塔を探す旅を、古代の王自身が残した言葉へと導いてくれるのである。

