ニンメシャルラ

『ニンメシャルラ』を発見したゲーム画面

発見物情報

補足

アッカド王国の初代の王・サルゴンの娘であり、ウルの神官でもあるエンヘドゥアンナが著した詩。相次ぐ反乱で国が乱れる中、イナンナ神に助けを求めて記されたとみられる。

考察

紀元前23世紀頃、メソポタミアを統一したアッカド王サルゴンの娘エンヘドゥアンナは、南部の都市ウルで月神ナンナに仕える最高位の女性神官を務めた。王の娘を重要な神殿に置くことは、アッカド王朝とシュメール諸都市の結びつきを強める政治的な意味も持っていた。

彼女の名に結びつく代表的な詩が『ニンメシャルラ』である。シュメール語の冒頭句に由来する題名で、「すべての神的権能の女王」を意味し、『イナンナの高揚』とも訳される。一般に約153行からなる賛歌として知られ、愛と戦いの女神イナンナの圧倒的な力をたたえると同時に、語り手自身の苦難と救済への願いを描いている。

作品の中でエンヘドゥアンナと名乗る語り手は、ルガルアネという人物によって神殿から追われ、祭儀を行う立場を奪われたと訴える。月神ナンナへの願いは届かず、最後の希望としてイナンナに助けを求める。神への賛美と個人的な苦しみが一つの詩の中で結びついている点は、この作品の大きな特徴である。

終盤では、イナンナが祈りを受け入れ、語り手の地位が回復されたことが示される。ただし、ここに登場する反乱や追放を、独立した歴史記録によってすべて確認できるわけではない。詩は政治的な動乱を背景にした宗教文学であり、出来事をそのまま記録した年代記ではないのである。

エンヘドゥアンナは、名前が知られる最古級の文学作者として広く紹介される。しかし、現存する『ニンメシャルラ』の写本の多くは彼女の時代より約500年後の古バビロニア時代に書かれたもので、実際の執筆者をめぐる研究上の議論は続いている。

それでも、この詩が古代の書記たちによって繰り返し書き写され、数百年にわたって読み継がれたことは確かである。王家の女性神官に結びつく祈りが、時代を越えて文学として伝えられた。その歴史こそが『ニンメシャルラ』の価値を物語っている。

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