補足
メソポタミアの古代都市ウルにおいて、王や貴人たちによって遊ばれたという盤面遊戯。一説には、世界最古の盤面遊戯の一つといわれている。ルールは双六やバックギャモンに近く、それらの源流とされている。
考察
ウルのロイヤルゲームは、古代メソポタミアで遊ばれていた盤上遊戯であり、「20マスのゲーム」とも呼ばれる。現在のイラク南部に位置する古代都市ウルの王墓から、考古学者レナード・ウーリーによって豪華な遊戯盤が発掘された。大英博物館が所蔵する代表的な盤は紀元前2600〜2400年頃のもので、木製の箱に貝殻などを象嵌し、花模様を含む20のマスが並んでいる。
この遊戯には駒と四面体のサイコロが用いられた。二人の競技者が出目に応じて駒を進め、先にゴールさせることを目指す競走型の遊びだったと考えられている。運だけでなく、駒を動かす順番や相手との位置関係を考える判断も必要だったらしい。双六やバックギャモンを思わせる仕組みだが、それらに直接つながる祖先であると断定することはできない。
当時の遊び方を完全に記した説明書は残っていない。大英博物館の研究者アーヴィング・フィンケルは、後世の楔形文字資料などを手がかりにルールを復元している。ただし、現代に紹介される遊び方は研究に基づく再構成であり、ウルの王墓で使われた当時のルールそのものとは限らない。
この遊戯の特徴は、王墓から出土した豪華な盤だけでなく、広い地域で長く親しまれた形跡があることだ。類似する20マスの遊戯盤はエジプトやレヴァントなどでも見つかっており、地中海東部からイラン方面に至る交流の中で広まっていた。宮廷で使われた精巧な道具がある一方、建物の石材に簡単な盤面を刻んだ例も知られ、遊びが富裕層だけのものではなかったこともうかがえる。
古代の人々が盤を囲み、サイコロの出目に一喜一憂していたとすれば、その光景は現代にも通じる。数千年を隔てても、人が遊びに熱中する姿はそれほど変わらなかったのかもしれない。

