クエストシリーズ「バベルの塔」#5
発見物情報
補足
古代エラム人が築いた宗教的中心地の遺構。連結した壁で三層に仕切られており、その最も内側にはジッグラトが建てられている。保存状態がかなり良いという特徴がある。
考察
現在のイラン南西部、古代エラム王国の中心地スサから南東へ約40キロメートルの場所に、チョガ・ザンビールの遺跡が残されている。紀元前13世紀、エラム王ウンタシュ・ナピリシャによって建設された宗教都市で、古代には王の名にちなみ「ドゥル・ウンタシュ」と呼ばれていた。
都市の中心に築かれたのは、ジッグラトと呼ばれる巨大な階段状の神殿塔である。元来は一辺約105メートル、高さ約53メートルの五層構造だったと推定され、頂上には神殿が置かれていた。主に日干し煉瓦で造られ、外側を焼成煉瓦で覆うことで建物を保護している。煉瓦の一部には、神々の名を記した楔形文字が刻まれていた。
この神殿塔は、スサの守護神インシュシナクとエラムの重要な神ナピリシャに捧げられた。都市全体は三重の城壁で区切られ、最も内側にジッグラト、その外側に神殿群、さらに外側には宮殿や王族の墓所などが配置されていた。単なる巨大建築ではなく、王権と宗教的権威を一体化させた都市計画だったのである。
しかし、この壮大な宗教都市は完成に至らなかった。ウンタシュ・ナピリシャの死後、建設事業は停滞し、都市としての重要性も次第に失われた。紀元前7世紀にはアッシリアによる破壊を受けたとされるが、考古学的にはそれ以前から主要施設の利用が衰えていたことが指摘されている。
旧約聖書に登場するバベルの塔も、メソポタミアのジッグラトと関係する可能性が高い。ただし、バビロンに存在したエテメンアンキなどがモデルとして論じられており、エラム王国のチョガ・ザンビールが直接の原型だったと示す証拠はない。
1979年、チョガ・ザンビールはユネスコ世界文化遺産に登録された。現在も高さ約25メートルの遺構が残り、古代の土と煉瓦の建築技術を伝えている。天へ近づこうとした人々の信仰と、それを形にするために積み重ねられた膨大な労働が、三千年以上を経た今も大地に刻まれているのである。

